本年度は主として、設備の導入および予備成形試験を中心に行った。供試パイプに軸方向圧縮を行うためのジグを設計・製作した。このジグを現有の25Tオートグラフに取り付け軸方向加圧機とした。また、供試材として板厚0.5mmと0.8mm、内径22mmのステンレス鋼の薄肉パイプを用い、両端にジグに取り付け可能なフランジを溶接した。片側のフランジには内圧ポンプに接続するためのジャックを埋め込んだ。 フィラメントワインディング機によるFRPの巻き付けは、熱可塑性樹脂含浸炭素繊維、熱硬化性樹脂+炭素繊維、熱硬化性樹脂+ガラス繊維熱硬化性樹脂+炭素繊維の3種類の組み合わせで行う。本年度の目標はまず内圧負荷により、パイプが変形するかどうかを確認することであるので、中央に8mmの無繊維強化部(ステンレスパイプまま)を作った。 上記のように準備したステンレスパイプのうちまず熱硬化性樹脂+炭素繊維で製作した試験片を成形試験に供した。供試パイプを25Tオートグラフに取り付け変位を固定した後、ポンプで内圧を徐々に負荷していき、無繊維強化部、繊維強化層でのひずみの挙動、軸方向荷重、内圧をコンピュータに取り込んだ。 その結果、板厚0.5mmのパイプにおいてわずかの径の増加が見られたが、板厚0.8mmのパイプでは変形が見られなかった。板厚0.5mmのパイプにおいても変形量は微小で、引き続く軸方向変位に移行する事ができなかったので、次年度はさらに薄肉(0.2mm、0.3mm)パイプでの成形試験を行う予定である。
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