研究概要 |
セラミックスのすべり摩耗機構の解析を行い、セラミックス同士の無潤滑すべりを利用したポアフリー鏡面加工のための加工条件に関し以下の結論を得た. 1.無潤滑すべりにおけるセラミックスの摩耗形態は、新たに導入した摩耗面の幾何的表面状態を表すパラメータR/Dg(平均粒子サイズDgに対する最大高さRの割合)の値及び比摩耗量Ws(=V/WL)(V:摩耗体積,W:荷重,L:すべり距離)に基づき,次のようにマイルド摩耗とシビア摩耗の2種類に分類できる.ここに,マイルド摩耗形態は,ポアフリー鏡面加工のための必要条件である.(l)マイルド摩耗Ry/Dg<0.2, Ws<10^<-6>mm^3/Nm (ll)シビア摩耗Ry/Dg<0.5, Ws<10^<-6>mm^3/Nm 2.マイルド摩耗及びシビア摩耗の摩耗形態間の遷移機構を理論的に解析し,これら2つの摩耗形態の遷移を支配する2つの無次元パラメータSc,m(機械的な接触の過酷さを表すパラメータ)及びSc,t(機械的な接触の過酷さを表すパラメータ)を新たに導入した.これらは,摩擦係数,最大ヘルツ応力,き裂長さ,平均粒子径,破壊じん性値,熱分配率,熱衝撃抵抗値,すべり速度,荷重,ビッカース硬度,熱伝導率,密度,比熱の加工条件と材料条件により構成される無次元数である.これら2つのパラメータが同時に次式を満たすことが,ポアフリー鏡面加工のための必要条件であることを明らかにした.Sc,m<6 Sc,t<0.04
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