研究概要 |
周囲流体を静止した水道水とし,添加粒子を平均粒径389μmの球形ガラス粒子とした場合の固液二相流の流動特性を実験的に明らかにした.粒子を含んだ液体相は鉛直下向きに噴出し,鉛直下向きとそれとは直角横方向の2方向の平均速度および変動速度をレーザドップラ流速計により測定した.今回の実験では,信号強度のレベルによって添加ガラス粒子と周囲流体に添加したトレーサ粒子との弁別を行い,粒子を添加しない単相速度,粒子速度および二相時の液体相速度の3種類を計測した.今年度の実験では,粒子添加量が液体相に及ぼす影響と,粒子噴出速度が粒子運動に及ぼす影響を明らかにするために,粒子添加量を体積分率0.087%と0.196%の2種類とした実験と,噴出流量を一定で粒子添加ノズル径を5mmと8mmとした場合の実験を行った.その結果,粒子添加量が増加すると,粒子変動速度が大きくなる傾向が明らかになった.また,粒子添加ノズル径が小さい場合,ノズル出口直後の噴流の外縁では液体相と粒子との間に大きな相対速度が生じる.この大きな相対速度のために,ノズル径が小さい条件では粒子にサフマン力が働き,粒子は大きく拡散することが明らかになった.また,本実験では粒子添加量が従来の研究(体積分率10^<-5>=0.001%程度の実験)よりも大きいにもかかわらず液体相の変化はほとんど現れなかった.さらに,粒子画像計測法を本流動場に応用した結果,条件等の設定が困難で正確な値とはならなかったものの,噴流中の粒子と周囲流体の巻き込みの様子が観察できた.今後は画像計測法の改良により正確な値を得ることと,添加ガラス粒子と周囲流体中のトレーサ粒子との弁別を可能にすることが目標である.
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