研究概要 |
今年度は、境界層型の熱線流速計を用いて円管内旋回乱流の時間平均速度場、及び乱流統計量の計測を行った。 本研究では支持針や支持棒の影響を受けにくい境界層型の熱線プローブを試作し、実験計測に使用した。熱線プローブ形状は、支持針を曲げ、支持棒の軸から30mm離れた位置に熱線受感部が付くよう加工した。支持針は、流れに対して支持針の影響を受けにくい角度として、支持棒の軸に垂直な面から約20゚の角度に曲げた。 単一傾斜型熱線を用いて、速度の3方向成分とレイノルズ応力成分を測定するには、流れに対する熱線受感部の設定姿勢を6つ以上の状態で計測する必要がある。本研究では、熱線受感部の中心を通る円管の半径軸上で熱線プローブを回転する方法を採用した。また、支持棒の軸に垂直な面に対して、熱線受感部が平行な熱線プローブと約20°の角度を持った熱線プローブの2種類を用いた。本研究では壁面から0.7mmと、これまでの研究に比べてより壁面近傍の測定が可能となった。 実験装置は、旋回流発生装置の後に内径:D=100mm・長さ:L=6000mmの円管を設置し、約3.4m^3の静定室・ISA1932ノズル流量計・約1.7m^3の静定室・送風機で構成される吸い込み型を採用した。円管内の測定位置は、円管の上流側からの距離が1.5Dから55.5Dまで3D間隔とし、半径方向の移動は備品購入した1/100mm表示可能なハイトゲージを利用した。旋回流発生装置の翼取付角度を変えることにより、自由渦型の旋回流と強制渦型の旋回流を流入することができた。実験条件は、旋回流発生装置の翼取付角度が0°,3°,6°,9°,12°,50°,60°、Re数は5.0×10^4〜1.0×10^5で行った。測定された旋回強さは55.5Dの位置で0.0〜0.7であった。 実験計測より、円管内旋回乱流の数値シミュレーションの評価に役立てる実験データの蓄積ができた。
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