研究概要 |
自由界面を伴う流れの例として,変形気泡の問題を対象にし,自由境界問題に対する3種類の手法により数値計算を行った.Navier-Stokes方程式を用い,移動境界問題を扱う代表的計算手法として,(a)境界適合格子を用いた一般曲線座標系による方法,(b)固定矩形格子を用いた手法,(c)有限要素法などが挙げられるが,本研究では,これらの手法のうち(a),(b)の手法を用いて計算を行った. (a)の境界適合格子を用いた数値計算手法としては,反変速度物理成分を基礎変数とし,界面での境界条件の取り扱いに独自の緩和法を適用した手法を用いた.そして,その手法を用いて,加速度運動する流体塊中に存在する変形気泡の挙動を調べた.その結果,気泡の挙動は,周囲流体塊の振動周期と気泡変形の時間スケールの違いにより4つのタイプに分類されることがわかった. (b)の矩形格子を用いた手法として,Front Tracking法とLevel Set法を用いて,壁面-気泡間および気泡-気泡間の相互干渉問題を解いた.特に,本年はFront Tracking法による数値解析を中心に行い,Front Tracking法が1セル内に存在する平行な2界面を取り扱えること,非常に接近した2界面を合体させずに計算を進行させることが可能であることなどを確認した.さらに気泡-気泡間の相互干渉の計算より,気泡後部の伴流の影響によりReynolds数が比較的高い場合にも,単一気泡の場合と異なり,気泡はポテンシャル流れの解とは大きく異なる振る舞いを示すことなどを示した. 平成10年度の予定としては,Level Srt法とFront Tracking法による計算の違いについて解析を進めることを予定している.また,狭い流路内に押し込められた気泡の挙動に関する計算を行い,表面張力と管内の圧力損失の関係について知見を得る予定である.
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