研究概要 |
本研究はロケット用ターボポンプのインデューサに生じるキャビテーション現象とそれによる非定常流体力および衝撃圧の発生機構の解明を目的とした基礎的研究である.本年度は主として静止2次元翼周りに生じるキャビテーションの形態とその発生条件を高速度ビデオを用いた挙動観察と入口変動圧力計測により詳細に調べるとともに,非定常キャビテーションの振動特性の解明を試みた.以下に得られた成果を示す. 1)キャビテーションマップを作成し,キャビテーションを6種類に分類するとともにその発生限界を明らかにした. 2)非定常キャビテーション状態ではキャビティ長さが長い場合(Longer Cavitation)と短い場合(Shorter Cavitation)で振動特性が異なることが分かった.すなわち,コード長による無次元キャビティ長さが1付近のLonger Cavitationでは,コード長で無次元化したストロハル数Stはキャビティ長さに依らずSt=0.13付近でほぼ一定となるのに対し,部分キャビテーション状態のShorter Cavitationではキャビティ長さが大きくなるにしたがってStが小さくなる.また,キャビティ体積変動の振幅についてもLonger Cavitationの振幅はShorter Cavitationの場合に比べ,大きくなることがわかった. 3)Shorter Cavitationの振動数は試験部上流部配管長さLdおよび迎え角αに依存し,本実験範囲ではLd及びαが大きいほど,振動数が大きくなることがわかった. 4)Longer Cavitationでは振動数が試験部上流部配管長さLdおよび迎え角αには依存しない.圧力変動の振幅に関しては迎え角αに依存し,α=5°付近で振幅が最大となる.
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