多数の気泡を含んだ液体(気泡群)の流体力学的挙動をモデル化するために、気泡相互作用・気泡変形を考慮に入れたマクロモデルの基礎となる、ミクロ要素モデルを構築することを目的とし、実験および数値解析・理諭解析を行った。 実験においては、気泡周りの流れ場を計測するために、様々なトレーサと光源を用いることにより得られた二次元流体画像に対して、本年度購入したグラフィックワークステーション上で開発されたPIV法(Particle Image Velocimetry)による流れ場計測用処理プログラムを用いて、その可能性と適用性を確認した。 数値計算によるアプローチにおいては、コロケーション法を用いることにより、定常ストークス流れにおける三次元気泡群挙動における、気泡相互の干渉及び気泡変形の影響を解析する計算コードを開発し、特に可視化実験の比較対照モデルとなる2気泡の運動に関して詳細な検討を行った。また、高レイノルズ数の条件下における非定常三次元気泡群の挙動に対しては、マルチポール法を用いて、各気泡周りの速度場及び圧力場は球面調和関数によって展開し、各気泡表面上で境界条件を満足するように展開係数を決定し、全体の速度場及び圧力場を求めた。理論モデル構築のための解析手法のひとつとして有効と思われる弱非線型解析をこの計算モデルに適用し、振動圧力場中の気泡群の挙動、特に2気泡の場合について気泡径および相対距離変化を時間の関数として記述することに成功し、その有用性を確認した。
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