研究概要 |
本課題に関して初年度である本年度は,遷音速ディフューザのパッシブ及びアクティブコントロールに関する資料を収集し,実験計画,実験装置の制作及び予備実験を行った.実験装置は定量的測定と光学的な手法による可視化を同時に可能にするため,片側円弧ディフューザを採用した.この装置を用いて行った予備実験より,アクティブコントロールを適用する前の片側円弧ディフューザの特性を明らかにした.まずスロートとディフューザ上流の集合洞における圧力測定及び光学的な手法を用いた可視化の結果より,本供試ディフューザがチョークする風洞圧力比は約1.35であることがわかった.この圧力比の前後で遷音速ディフューザはきわめて不安定になることはこれまで多くの研究者が報告しており,この圧力比付近でのアクティブコントロールがより効果的であることが期待できる. さらに,非定常圧力変動の自乗平均とスペクトル解析よりディフューザ内の流れ場は,衝撃波が存在する領域できわめて大きな圧力変動があり,その周波数成分は数百Hz以下であることが明らかとなった.これは,これまで多くの研究者が報告してきた結果ときわめてよく一致している.したがってこの数百Hz以下の変動成分に対するコントロールを可能にするため,アクチュエータを設置する位置の決定やその駆動方法を検討する.また下流側の圧力変動に対するもっとも有効な制御方法を,実験及びモデル計算をもとに,予測制御やDSP(デジタル信号処理装置)を用いたリアルタイム制御を行う予定である.
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