研究概要 |
研究計画書に記載の通り,初年度となる平成9年度は現有のノズルバ-ナと組み合わせる,混合気の供給系を製作した.一定割合のニ酸化炭素を添加する人工空気は分圧法によってあらかじめ生成し,希釈率を変化させる必要のある燃料と人工空気とは,フローメータによる流量制御をしながら混合する方法とした.新たに製作したこれらの装置によって,空気中の窒素に二酸化炭素を添加した場合の消炎実験を実施した. 二酸化炭素添加の影響を従来のデータと比較する目的で,対向流予混合双子火炎を用い,二酸化炭素の割合を0,5,10‰と変化させた三種類の人工空気を用意した.火炎伸長率が数十から100程度の範囲で消炎実験を行ったところ,消炎限界は伸長率の増加とともに,また二酸化炭素添加率の増加とともに狭くなることがわかった,この結果は二酸化炭素の添加によって混合気の熱容量が増大し,火炎温度が低下したためと解釈できるが,さらに詳細な機構を検討する目的で輻射を考慮した素反応数値計算も実施した.その結果,ニ酸化炭素添加による火炎温度の低下,消炎限界の変化などは計算と実験が定性的に一致すること,当該実験の範囲では,輻射の影響は火炎温度にして数K程度に過ぎないことなどが明らかとなった.計算によると,輻射の影響が十分強くなるのは低伸長率の領域か,火炎のスケールが十分大きくなった場合に限られると思われる.こうした知見をふまえ,来年度は再吸収の効果を含めて検討する予定である.
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