流体中の速度を三次元的に計測する方法としては、本研究者らが開発した三次元画像処理流速計(3-D PTV)という手法がある。この手法は、流体中に浮遊させた粒子の位置を複数台のカメラによって計測し、それらを時々刻々追跡することによって速度を計測するという手法で、すでにその計測原理及びその計測精度に対して十分な吟味がなされており、種々の流れ場の計測において大きな成果を上げている。一方、多点温度計測手法としては、レーザー励起蛍光法(LIF)という手法があり、レーザースリット光の当った断面内の二次元温度分布を計測することが可能である。 しかし、流体中の温度を三次元的に計測する方法は未だに開発されておらず、流体中の熱輸送の詳細を解明するには、三次元的に速度と温度を同時に計測する手法の開発が待たれている。 そこで本研究では、流体中の速度と温度を三次元的に同時に計測することが可能な新たな計測手法を開発すべく、その計測手法の基礎となる感温粒子を試作し、その感温特性の詳細を調べ、更に実際に乱流場において温度速度同時計測を行い、計測方法の有効性を明らかにすることを目的とした。 本年度はまず、計測精度を向上させるために、ポリスチレンの(O/W)型のエマルジョンに蛍光染料を直接混入させることによって、蛍光染料濃度が高く、従って温度感度の高い感温粒子を調整することに成功した。 またこの粒子を用い、乱流水平対流層において、実際に二次元温度速度同時計測を行い、温度速度同時計測が可能であること、三次元へ拡張が十分可能であることを実証した。
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