高分子材料の微細加工技術として注目されるエキシマレーザー加工における加工メカニズムの検討のためには、加工面付近の温度上昇を予測、計測することが必要となる。エキシマレーザーはパルス幅数十ns程度の短パルスレーザーであるため、熱電対等を用いる従来の手法では温度上昇の正確な計測は不可能であり、表面温度の計測法は確立されていない。本研究では光学的な手法を用いた加工面付近の温度上昇予測手法を開発するとともに、エキシマレーザー照射時の高分子材料内温度上昇予測用の数値計算コードを開発しこれらの組み合わせにより加工面付近の温度上昇の予測手法を確立することを目的としている。 第2年度の今年は、昨年度構築した光学系に基づく計測ならびに数値計算コードの開発を行った。計測ではポリエチレンを用いたが、計測用のHe-Neレーザー光の反射率の温度依存性から、表面温度計測の可能性が示された。また数値計算では、試料の溶融、蒸発過程を考慮し、試料のアブレーションに伴う遮光効果を含んだ計算コードの開発を行った。数値計算コードには幾つかのパラメータが含まれるため、これらは加工深さの実験結果との比較で補正を行った。実験結果との比較により、波長248nmのKrFレーザーを照射した場合については今回開発した熱的なモデルで現象をよく再現できることが明らかになった。
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