研究概要 |
まず,同定理論の研究に関しては,同定実験を行う際の入力信号に注目し,観測雑音や非構造的なモデル化誤差に対するパラメータの同定精度に関する考察を行った.この考察に基づき,同定精度を高めるための最適な入力信号の生成問題を,同定対象が線形構造のみを持つ場合と非線形構造を持つ場合に分けて考察した.線形構造のみを持つ場合には基本入力信号として直交関数を用いることにより凸最適化問題に帰着すること,さらにはLMIを用いて効率よく求めることがわかった.非線形構造を持つ場合にも特別な場合には凸最適化問題に帰着することがわかった. フレキシブルアームのモデリングに関しては,2リンク構造を持つ場合のモデル化を行った.1リンクの場合と異なり,モード解析法をそのまま用いることが難しいため,アームのたわみに関しては剛体アームの先端にばね要素が付加されているとしてモデル化した.しかし,精度の面では問題である. 実験装置として2リンク構造を持つフレキシブルアームマニピュレータを試作した.2リンクを駆動するモータトルクを十分有するためにはモータの質量が大きくなってしまい,1リンクにたわみのみならずねじれの現象が生じた.今後ねじれを生じさせないような機構的な改良が必要と思われる. このモデルを用いてフィードフォワード+最適フィードバック制御により位置決め防振制御系を構成した.まだじゅうぶんな位置決め防振性能が得られていない.これは設計仕様が十分に反映されていないことと,モデルの精度が悪いためであると思われる.次年度ではこの点に着目して制御性能を考慮した同定実験計画を考案する予定である.
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