本研究は、加振台を用いた加振実験と数値解析の2つの流れで進められた。 加振実験では、フランジ部を部分的に評価するために配管試験体を製作した。直管部にフランジ部を設け、配管の右端は床に設置した架台に固定し、左端は加振台の上に設置た架台に固定した。そして、管直角方向に強制変位入力、管軸方向に地震波入力を同時に行った。加振台は油圧のアクチュエータにより作動し、変位入力による制御を行っている。したがって、入力波は、地震波の変位波形に強制変位入力を加えることにより、慣性力と強制変位を同時に実現することが可能である。フランジボルトは塑性変形せさることを考慮し、外径が細くなる部分を設けた。そして、加振実験を行い、フランジ部に作用するモーメントやモーメントの回転中心の位置、フランジボルトに生じる歪みを調査した。その結果、強制変位によってフランジに生じるモーメントと慣性力によって生じるモーメントを分離して考えられることがわかった。 数値解析では、フランジ-配管系を簡単な力学系にモデル化し、フランジボルトもバネ要素としてモデル化した。ボルトの塑性変形は弾塑性モデルとしてよく用いられているバイリニアー形とした。このモデルに加振実験にて詳細に得られた結果、特に回転中心を導入し、数値シミュレーションを行った。そして、計算により得られた結果と実験により得られた結果を比較し、モデル化やフランジ部をシミュレーションに導入する方法の妥当性を検証し、本研究で用いた方法が耐震設計に適用しうるものであることを明らかにした。 以上が本研究の大まかな流れであったが、平成9年度は、試験体の設計とモデル化、そして、フランジ部をシミュレーションに導入する方法の構築と数値計算を行い、加振実験を行うための基礎データの蓄積までを行った。平成10年度は加振実験およびシミュレーションモデルの妥当性を検証した。
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