研究概要 |
弾性マニピュレータによる環境面に接触するまでの接近制御から力制御への一連の動作において,スムーズな移行を実現する制御方法を考えた。まず,1リンクフレシキブルアームに対し,接触時に制御系の切り替えを行う方法と行わない方法を提案し,検証実験を行った.そして,レーザ距離センサを用いた接近/接触状態の把握を持つ自律的な制御方法として,前述の2つの制御方法の適用について検討した.さらに,レーザ距離センサを用いるためには環境面に対する姿勢制御が必要であり,2リンク弾性マニピュレータの製作を行った.以下に,実験により得られた知見をまとめる. 1.衝突時にアームの弾性振動が励起され力の応答に影響を与えるため,振動抑制を含む力制御を提案し,このときの最適接近速度の計算を行った.これを適用するとき衝突力の緩和,スムーズな移行が可能である. 2.接触状態のモデルに対しモデル追従型力サーボ系を設計し,歪みフィードバックを追加することにより,この制御系が環境面から離れた状態において,等速な接近動作を実現する.さらに,接近速度補償を追加したとき,前述の特徴を保ちながら接近速度の調整が可能である.また,この手法の拡張として,最適接近速度の考え方に基づき,接触過程を考慮した最適な力制御方策が有効である. 3.制御系の切り替えは弾性振動を励起する恐れがあり,切り替えを行わない方法が優位である.制御系の切り替えは弾性アームにおいて好ましくないものと考える. また,本制御手法にレーザ距離センサを用いることにより,移動する環境面に対しても接近制御から力制御への自律的移行が可能であることを検討した.平成10年度では,2リンクマニピュレータにて検証実験を行う.
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