研究概要 |
平成8年度の実績を踏まえ,電源や制御装置一式を筐体内にもつ自律型移動体を製作した。車輪として大きな曲率半径を持つ円弧の回転体,すなわちラグビ-ボールのような形状の車輪を採用した。また筐体の上体と下体をつなぐ関節の角度をモータで能動的に制御できる。車輪の断面が大きな曲率半径を持つので,もしその曲率中心よりも下に重心があれば,移動体の左右方向はいわゆる『起き上がりこぼし』のような構造安定系となる。実際には,その曲率中心より重心を少し上方におき,ジャイロにより姿勢を検出して制御による姿勢安定化をはかるようにしている。前後方向に関する姿勢安定もジャイロにより検出した姿勢により制御を行なうようにした。本年度においては特に次の点に留意した。 1.筐体構造を再設計し,各部が十分な強度を持つように,また上・下体の質量配分を見直した。 2.申請者らの研究室で開発した標準的コントローラのうち,統括制御系および走行制御系のCPU基板,およびそれらをサポートするラックと蓄電池式電源装置一式を搭載した。 3.製作しようとする移動体の姿勢の前後左右および回転方向の角速度検出のためにジャイロを3式とA/D基板を購入し,必要なセンサ信号を走行制御系に入力できるようにした。 4.移動体の左右に補助輪をつけ,上体と下体をつなぐ関節を固定して,前後方向の安定直立と直線走行を実現した。 実際の走行実験において,モータと車輪をつなぐ減速機の摩擦特性が,設計した制御系に悪影響を及ぼしていることが判明したので,これに対処する必要性が生じた。これについては次年度において対処する。
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