研究概要 |
本研究では異形態異動ロボット間,ロボットと人間,そしてロボットと環境の連結と協調作業を実現するための装置と諸制御法の新しい概念「ハイパー・テザ-†」を提案する.ハイパー・テザ-は高機能なワイヤ・ケーブル(以降,テザ-と呼ぶ)とウィンチを用いて牽引力発生,自動操舵指令生成,電力伝送,情報通信,テザ-の投擲や投錨を実現することを目的とする.本年度は主に計算機シミュレーションを用いた理論的な考察と,簡単な準備実験を行った. テザ-牽引によってロボット間で生じる動力学的干渉の影響を探るため,まずは本研究室保有の特殊車輪型,クローラ型や脚型移動ロボットへの適用を想定した計算機シミュレーションを行った.その結果,特殊車輪型やクローラ型は多少の牽引力の変化に対しても安定した走行が可能であるが,脚型ロボットでは大きな姿勢変化がみられた.脚型ロボットでは,テザ-張力や力方向等の測定は必要不可欠であることが明らかになった. 次いで,ロボット間の連結が威力を発揮する急斜面での作業を想定し,テザ-の張力と長さ調整の応答速度をシミュレーションし,テザ-とウィンチの設計仕様を決定した.まずは,高強力アラミド繊維(ケブラ-)を使用すれば,抗張力2300N,重量25g/m,電力定格30V/3.3A,直径5mmの牽引と電力伝送機能を同時に実現できるテザ-が作成可能であることを確認し,そのテザ-を100m格納でき,高速低負荷巻き上げや低速高負荷巻き上げ機能を備えた持った高機能ウィンチを設計した.ウィンチを用いた連結手法の予備実験のため,市販の電動リ-ルを購入して簡単な実験を行った.その際,テザ-の絡み合いを防ぐような巻き上げ・手繰り出し制御を行うための電子回路も作成した. 1年度目に行った主な予備的考察は以上であるが,2度目には設計したテザ-やウィンチを実際に作成し,実機を用いて実験検証する.また,本研究の展開として,テザ-を投擲したり,急斜面上方に自動的にテザ-先端を投錨できる高機能テザ-とウィンチをロボットに装備し,車輪型やクローラ型ロボット単体でも急斜面を安定に移動できるシステムの開発も同時に行っていく.
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