研究概要 |
本研究では移動型福祉・ホームロボットにおいて,目標物や障害物の位置・姿勢を認識する外界環境認識システムと,室内における自分の位置を知る自己位置同定システムの2つについて開発を行い,これらを統合して移動ロボット用ナビゲーションシステムを構築することを目的とする.本年度行った内容を以下に具体的に述べる. 1.対象物体の位置・姿勢計測システムの開発 外界環境認識システムにおいては,対象物に認識用マ-カを設置し,ロボットに搭載された画像処理装置でそれを認識し,物体の位置・姿勢の計測を行う.市販の反射テープの代わりに曲面形状物体に対応可能なように同等素材塗料の塗布を行った.食器の縁に等間隔で4カ所マ-カを湿布し、これを本年度購入した画像処理装置でリアルタイムに認識した.4個のマ-カの見え方よりカメラ座標系における食器の重心位置,食器の回転角度を算出する手法を定式化し,実験にその有効性を確認した.この結果本システムの精度は±1mm,±0.2°であった.これらの誤差は移動ロボットに搭載するマニピュレータの制御の工夫により補正できる程度である. 2.自己位置同定システムの精度の2次元平面内での予備検証 自己位置同定システムでは,部屋の天井の数カ所に超音波受波器を設け,ロボットから発信される超音波パルスの受波器への伝播時間を測定し,三角測量の原理によりロボット自身の室内での位置でを計算する.研究室に既に所有する無指向性コンデンサマイクロホン2本を受波器とし,受信器として無指向性点音源近似できる電気火花放電パルスを用いて,2次元平面内での予備的な精度検証実験を行った.この結果本システムの位置計測精度は±0.6mmであり,従来の超音波システムで報告されている数十mmの精度に対して良好な精度が実現された.
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