二次元リニア同期モータの連続的な運転を模擬する試験装置として埋め込み磁石形の回転形試験機をリング巻線形の電機子8本を用いる構造として設計した。軸にスライド式のリニアベアリングを採用することで二次元運動を可能とし、推力の測定上障害となる可能性のある強い吸引力の問題を、軸まわりに点対称なリング巻線形を選ぶことにより回避した。リング巻線により、界磁・電機子の実効的な対向面積が小さいという問題点を解決した。また、埋め込み磁石形の可動子構成を選ぶことで、磁気時期回路最適設計のための自由度を確保し、同時にリング巻線のためギャップ長が大きくなるという負の効果緩和した。この構成に対する理論的な磁気回路の解析により、永久磁石の性能を引き出し設計定数を導出した。その理論成果に基づいて、実機の寸法を決め、試験機を製作した。当初意図した積層鉄心による電機子の構成は作業の複雑さから断念せざるを得なかったが、低周波電源での駆動実験において問題はない。また、フーリエ級数法を応用して横方向ディテント力を解析し、円滑な二次元駆動の検討の基礎を導いた。本年度中の作業として当初予定していた本格的な連続駆動試験と、任意の電流波形を印加する電源の設計は、モータ本体の製作作業に予想以上の時間を要したため、次年度の課題となっている。
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