研究概要 |
本年度は基礎的な研究として,一般によく用いられるハイブリッド構成による3kWのPWMコンバータに,本研究で提案する簡単な電源電圧センサレス手法を適用した試作機を製作した。その結果,以下の結果が得られた。 (1)理論的考察より,電源電流制御ゲインが十分高い場合,提案する電源電圧センサレス手法が実現可能であることを確認した。 (2)デットタイムによる電源電流に与える歪みはゼロクロス付近に大きく発生し,計画にあるデットタイム補償回路は目標達成のためには必須のものであることが確認できた。 (3)定常時の電源力率は,0.35kW以上において,99%以上の高効率を達成することができた。 (4)電源電流歪み率は2kW負荷時において,2.3%が達成でき,良好な結果が得られた。 (5)DC電圧は3kWまでの全負荷領域で変動率1%以下の結果が得られた。 (6)電源電圧を急変させた場合(100Vから±10Vの急変動)においても,電源力率99%以上,DC電圧変動率1%以下の良好な結果が得られた。 (7)電源周波数を急変させた場合(50Hzから±10Hzの急変動)においても,電源力率99%以上,DC電圧変動率1%以下の結果は維持された。 以上のように,オペアンプ2つの追加により簡単に構成される,提案する電源電圧センサレス手法は,従来の電源電圧センサを有するPWMコンバータに劣らない基本性能を有し,実現可能であることを実証でき,本年度の計画は達成することができた。
|