研究概要 |
本研究の目的は,高効率化,電磁ノイズの低減と高信頼性の両立が実現可能な無効電力補償装置に適したソフトスイッチング技術を開発することにある。本研究のソフトスイッチング無効電力補償装置では,転流コンデンサの放電(零電圧)を検出してスイッチング素子を動作する新しい制御法が必要である。 無効電力補償装置(10kVA)を試作し,転流コンデンサの動作原理を実験により確認した。無効電力補償装置の主回路には実機と同様の4段多重電圧形インバータを採用し,スイッチング素子には,実機で用いられるGTOサイリスタと同程度のターンオン・オフ時間を有するパワートランジスタを用いた。試作した無効電力補償装置に転流コンデンサを接続し,動作原理を実験により確認した。転流コンデンサ容量と電圧・電流の上昇・効果時間,スイッチング損失について検討し,転流コンデンサに蓄積される電荷は損失となることはなく,共振電圧・電流を重畳しないためインバータ容量も増加しないことを確認した。さらに,EMTP(電磁界解析プログラム)を使用してディジタルシミュレーションを行い,転流コンデンサ容量の最適化を行なった。その結果,高効率化,電磁ノイズの低減が可能であるだけでなく,電源高周波の抑制にも効果があることが明らかとなった。 平成10年度は,無効電力補償装置の起動時にも転流コンデンサを短絡しない,ソフトスタート制御法を検討する。とくに,転流コンデンサ容量と起動時間・起動抵抗の関係を明らかにする予定である。
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