研究概要 |
本年度の研究では,「半波整流ブラシなし同期電動機」を電気自動車用駆動電動機として利用するために,保守のや精度において問題が生じる位置センサを取り除く「センサレス制御」に関する研究を行った。また,本電動機の回転子形状,永久磁石の大きさや配置,巻線形式などの電動機設計の指針を得ることを目的としたシミュレーションを行った。また,永久磁石を併用した本電動機では,強め界磁や弱め界磁運転を最も効率よく行う事のできる励磁電流が存在することを利用して,本電動機の特性を最大限に引き出す「最適制御」に関する研究を行った。 (1)センサレス制御による負荷試験 本電動機の回転子巻線は,ダイオードで単相短絡されており,ブラシなしで界磁の励磁を得るために固定子巻線に125Hzの三角波を重畳している。この本電動機の特徴を利用して,低速時おいても推定誤差が生じ難い「センサレス制御」を提案していた。本年度の予算で購入したYokogawaのディジタルパワーメータを用いて,センサレス制御時の負荷試験を行い,電動機特性の測定を行った。 (2)電気自動車用駆動電動機としての設計シミュレーションの基礎研究 定格出力15KW,定トルク回転数0-1500rpm,定出力回転数1500-6000rpm,定格トルク95.55Nmの電動機を想定し,極数は4極,固定子巻線は二層分布短節巻を採用し,モータ長170mm,ギャップ長0.6mmとした。本電動機では外部より界磁電流を励磁しているが,界磁磁束がほぼ一定となることから,等価的に通常の同期電動機と同様に直流電流によって励磁されていると考え,外部に加える励磁用電流の実効値や交互インダクタンスを利用した近似式を用いて,特性解析を行った。 (3)最適制御プログラムの開発,及び駆動システムの試作 従来より使用していた駆動プログラムを改良し,本電動機の性能を最大限に引き出すことのできる励磁電流を随時探し出し,駆動することのできるプログラムを試作した。また,演算処理時間の短縮化を目的として,DSP等を用いた駆動システムを試作し,実験によりその動作を確認した。 今後,本年度の研究をもとに,回転子形状,永久磁石の大きさや配置,巻線形式などの電動機設計をより詳細に行うとともに,既存の本電動機を用いた最適制御法の確立を行っていきたい。
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