研究概要 |
本研究課題では,機器設計の期間および費用の削減・高精度化・信頼生向上などを目指し,電気機器の高精度な最適設計を実現しうる強力な数値解析の開発を目的としている。具体的には,電磁現象に対する有力な数値計算法として広く用いられている有限要素法や境界要素法またはこれらの併用手法に対し,更に数理計画法や様々な最適手法を組み入れ,各種電気機器の問題特性に適した設計法法を確立していく。特に本年度は,上記の電磁界数値解析手法に組み入れる最適化手法として,局所的な最適解に陥りにくいシミュレーティッドアニーリング法や遺伝的アルゴリズム法などの直接法に焦点を当て,各種機器の解析上の難点打開に効果的な設計法法を検討した。具体的な対象としては,かご型誘導電動機を取り上げ,冷却等の効果を損ねずに磁気飽和の影響を極力小さくするような通風ダクトの最適形状の導出に成功した。本設計過程では,楕円形および半円と半楕円を組み合わせた2種類のダクト形状を提案し,初期形状(円形ダクト)と比較して空隙磁束の基本波成分の波高値を約10%改善することに成功した。また,導出した最適なダクト形状のもとでは,固定子と回転子の相対位置変化に伴う変調作用の悪影響も大幅に抑えられることを確認し,その有効性を実証した。次年度はさらに設計対象を,MRI装置用磁気シールドや治療用誘導加熱装置などの3次元問題に拡張し,より汎用性のある最適設計手法の開発をおこなう。以上,本年度は予定通りに研究が進行した。
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