研究概要 |
1.地下水汲み上げ用ポンプに使用されていた電動機と同容量の永久磁石型ベアリングレスモータを試作し,浮上試験を行った。現在までに半径方向二軸の位置制御が可能となり,無負荷で回転速度9,000r/minまで回転軸を安定に支持して運転可能であることを確認した。また,負荷時には電機子反作用が発生するため,負荷の重さによってq軸磁束が変動すると,永久磁石の界磁磁束とq軸磁束の合成磁束である電動機主磁束の大きさと方向が変動する。したがって,一定の位置制御電流を流していると,回転軸は不安定になる恐れがある。研究者らは,すでに電機子反作用を考慮した位置制御法を提案している。これは,位置制御電流の振幅と位相を補償するものである。これらの補償器を製作して負荷試験を行い,回転速度8,000r/min,出力1.5kWで回転軸を安定に支持して駆動できることを確認した。 2.永久磁石型ベアリングレスモータにおいて,単位半径方向位置制御巻線電流当たり発生する半径方向力を増加するためにギャップ長と永久磁石の厚みを小さくする。しかし,永久磁石は薄いほど減磁しやすくなる。このため,回転子鉄心表面に突起を施し,その間に小型の永久磁石を貼り付けた構造の回転子を考案した。永久磁石の磁束のうち,突起を通過して永久磁石に戻る漏れ磁束が発生するため,永久磁石の減磁を抑制することができる。一方,漏れ磁束が発生するためギャップ磁束密度が減少し、単位電流当たりの半径方向力が減少する恐れがある。研究者らは,有限要素法により減磁強度と単位電流当たりの半径方向力の関係を解析した。突起の高さ,幅,永久磁石の厚みをパラメータとして,減磁強度の増加に対する単位電流当たりの半径方向力の減少の割合を明らかにした。
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