研究概要 |
多元スパッタリング法を用いて、(Pb,Ca)TiO_3(PCT)薄膜を比較的低温の460℃で作製することに成功した。得られたPCT薄膜は基板の種類、基板温度によって特性が変化した。Ca含有量が0.30mol%の膜厚200nmの薄膜において、Pt/Ti/SiO_2/Si基板上に基板温度460℃で作製した薄膜は残留分極22.5μC/cm^2、比誘電率225、Pt/MgO上に基板温度500℃で作製した薄膜は残留分極41μC/cm^2、比誘電率174であった。ここで得られた比較的小さな比誘電率と高い残留分極を有する特性はマイクロアクチュエーターや赤外線センサーに応用するのに十分な可能性を持つ事を示している。 ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング法により、SrBi_2Ta_2O_9(SBT)薄膜を作製した。Biを過剰にしたターゲットSrBi_<26>Ta_2O_<9+δ>を用いた。基板温度600℃でスパッタした薄膜はAs-DepositedでSBTの構造を示す薄膜が得られたが、強誘電特性を示す薄膜は得られなかった。Pt/Ti/SiO_2/Si基板上に基板温度300〜400℃でスパッタした薄膜を750℃、800℃で熱処理した薄膜では、強誘電性に対応すると思われるヒステリシスループが現れた。熱処理温度800℃のSBT薄膜は、残留分極3.0μC/cm^2、抗電界88kV/cmを示した。X線回折によれば、この薄膜は特定の配向を示していなかった。
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