研究概要 |
本研究は、複雑な組成の物質でも良質な結晶が得られる成長法として知られている液相成長(LPE)法を用いて、Sr,Caの割合を系統的に変化させた融液よりMgO(100)単結晶基板上にBi系酸化物超伝導体2212相(以下Bi-2212と呼ぶ)単結晶薄膜を作成し、試料中のBi,Sr,Ca,Y元素の分布を測定することによって、Bi,Sr,Ca,Y原子がSrO層,Ca層に入る際の選択則を支配するメカニズムを解明することを目的としている。 昨年に引き続き、LPE法を用いてBi-2212薄膜をMgO(100)単結晶基板上およびSrTiO_3(100)単結晶基板上に作成した。X線回折結果より、作成した薄膜がBi-2212単相であることを確認した。そして、EPMA,XPS各測定結果より、Sr,CaがSrO層,Ca層に分布する割合を求めた。また、これらの結果と薄膜の電気的特性とを比較することによって、元素の分布状態がBi-2212相の超伝導特性に及ぼす影響について調べた(研究論集に発表)。さらに、Sr,Caの組成比を変化すると、LPE成長の最適条件が変化するため、融液に添加しているYの薄膜中に取り込まれる量が変化することがわかった。また、このYの量がSr,Caの分布に大きな影響を与えていることが新たにわかった(現在Jpn.J.Appl.Phys.に投稿中)。
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