研究概要 |
人間の活動を妨げることなく運動や身体の情報を獲得するための超小型知的センサーの研究を行なっている。本年度は,マイクロ心拍モニターと体感温度センサーの試作を行なった。マイクロ心拍モニターには、IV動作の回路の実現を目指し、CMOSインバータ回路を基本とした低電圧バンドパスフィルター、Σ型データ圧縮回路、シフトレジスター型メモリーが組み込まれている。0.6μmポリシリコン1層プロセスを用いて試作された集積回路を検証した結果、心拍データの情報を1/10〜1/20程度に圧縮し、およそ30時間程度の心拍数を記録可能であることがわかった。体感温度センサーでは、バルクマイクロマシ-ニング技術を用い、CMOS回路に流量計、温度計、湿度計を埋め込み、オペアンプによるアナログ演算から体感温度を出力するセンサーの設計を行なった。体感温度センサーから出力されるアナログデータを記録するためのオフチップメモリー回路をゲートアレイを用いて試作している。他には、超小型かつ超低消費電力でセンサーを動作させるための基礎研究としてCMOS回路を構成するMOSFETの微細化限界についての考察を行なった。その結果、アナログおよびディジタル回路で必要となる十分な電圧利得を得るためには、ゲート長が50nm以上のデバイスが必要であることがわかった。来年度は今年度試作したチップの検証を進めるとともに、無線を用いた入出力インターフェースの検討を行なう。
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