研究概要 |
現在用いられている光電子放出面は量子効率が低いため,それを用いて得られる画像のS/Nが悪く,非常に画質の悪いものであった.これまでの研究により,電界放出微小電子源を電気的にフローティング(フローティングエミッタ)し,アモルファスシリコンpinフォトダイオードを組み合わせることで,従来の光電子放出面の量子効率の約4倍のデバイスを新しく開発することに成功した.本研究では,これまで提案してきたフローティングエミッタを用い,原理上これまで製作困難であった波長5μm以上の赤外光に感度を持つ光電面を実現すること,さらにこれを応用した,超高感度な赤外線2次元イメージセンサを製作することを目的としている. 本年度はゲート電極を持つ三極管構造をもつシリコン電界放出微小電子源,n型MOSFETとPZTの焦電センサを用いて波長5μm以上の赤外光に感度を持つ光電面を実現することを目指した.三極管構造をもつシリコン電界放出微小電子源を真空装置内に設置し,外部でn型MOSFETと焦電センサーを電気的につないだ.n型MOSFETのドレイン側に電極放出微小電子源を,そしてMOSFETのゲートに焦電センサをつないだ.このように接続することで電界放出微小電子源の電位を焦電センサの出力が接続してあるゲート電極でコントロールすることができると考えた.その実験の結果,波長7.6ミクロンの赤外光の出力に比例した,電子が電子源より放出することを確かめた.さらに4ミクロンから10ミクロンまでの赤外光において,その出力は波長依存性を示さないことが確かめられた.
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