平成10年度は、下部NbN電極をプラズマ窒化して形成したNbNxあるいはNb/AlOx/Nb三層構造を障壁層としたNbNジョセフソン接合の検討を行った。NbN/NbNx/NbN接合については、10Kで臨界電流密度Jc1.2kA/cm^2、IcRn積0.64mVというオーバーダンプ型接合が得られた。このIcRn積の値はかなり魅力的なものであり、本接合の潜在能力の高さを示すことができた。また、接合特性の均一性では、標準偏差1δが4.2Kで2.9%と比較的良好な結果を得ることができ、集積回路への応用が可能であることがわかった。接合の伝導機構については、ハイバイアス時の接合の電気的特性から、プラズマ窒化NbNx障壁層内の局在準位を介した伝導であることが推測された。このことから、接合特性は、局在準位密度に大きく影響することが予想され、これをプラズマ窒化条件によりいかに制御するかが課題となることがわかった。一方、NbN/Nb/AlOx/Nb/NbN接合では、まず、接合が10Kではオーバーダンプ型になることが確認された。Jc及びIcRn積に関しては、10Kで最大0.44kA/cm^2、0。16mVの値のものまで得られた。10KでのJcはNb層の膜厚に大きく依存し、高いJcを得るには下部Nbを用いない方がいいことがわかった。接合特性の均一性では、標準偏差1δが4.2Kで2.1%と良好な結果が得られた。この接合については、接合特性の均一性がかなり高いことから、Jcの上昇を図れば集積回路に適用可能であることが示された。
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