研究概要 |
パルス幅50フェムト秒の光パルスを用いて、超伝導電流を変調し、磁気エネルギーを超高速制御することにより、超伝導ループ中での、磁束量子の生成・制御・消滅に成功した。このとき、テラヘルツ電磁波放射マッピング法を用いて、磁束及び超伝導電流分布の非破壊・非接触観測装置を開発した。磁束膜厚約100nmのYBa_2Cu_3O_<7-δ>,薄膜を用いて、超伝導ループを形成し、超伝導電流を印可した状態、或いは約1mTの外部磁場印可した状態でその一部に、直径約25μmの光パルスを照射し、磁束を生成した後、外部電流或いは外部磁場を除去した状態で、光照射し、放射されるテラヘルツ電磁波を観測することで、磁束の量子の存在を検出し、その磁束量を見積もった。その結果、フェムト秒レーザー励起により生成・変調される磁束量子を、20個単位の分解能で観測することに成功し、様々な実験結果から、この現象は従来の理論では説明できない新しい現象であることを示した。一方、この現象を基盤として、単一磁束量子の制御が可能となる超伝導光磁束トラップメモリーの設計を行った。設計デバイスは、光により磁束量子を制御する超伝導ループと、捕獲された磁束を検出する超伝導量子干渉デバイス(スクイド)を組み合わせることとし、そんスクイドの配置について検討した。その結果、超伝導ループ中に光誘起された単一磁束量子に発生する磁場が観測可能であることを明らかとし、超伝導ループに、スクイドを直結したデバイスが最も有力な構造であることを示した。
|