フォトリフラクティブ結晶を介する光増幅過程において観測される光双安定現象を利用して、画像入出力可能な画像メモリ及び論理演算素子を構成することを目的として研究を行った。 l フォトリフラクティブ結晶としてCeをドープしたSBN結晶を用いて、二光波混合による光増幅系を構成した。この光増幅系の増幅率に連動してその透過率が変化する、液晶を用いた光ゲートを組み合わせて光双安定特性曲線を観測した。フォトリフラクティブ結晶を用いた光増幅部では、十分な増幅率を得ることができ、双安定特性の制御が可能であることを明らかにすることができた。増幅部では、昨年検討した画像メモリ応用の成果を生かして、画像拡張は容易であると判断していた。しかし、光ゲートとして用いた液晶空間光変調素子を大画面化が困難であり、光双安定現象を光メモリとして利用可能であることを実証することは、今の所できていない。しかし、光ビームのままで、時間的変調信号による論理演算は、可能であろうと考えられる。この場合には、フォトリフラクティブ結晶、液晶ともに最大応答周波数が、十数Hzと遅いため、高速な演算は実現されない。しかし、画像に拡張すれは、応答時間に比して多量の情報を処理できるので、有効である。 2昨年から引き続き、フォトリフラクテイブ結晶を利用した、画像メモリシステムの特性の評価を行った。結晶としては鉄がドープされたニオブ酸リチウム単結晶(LiNbO3:Fe)を用いた。ホログラムは、コンピュータを用いて数値計算により設計し、結晶中に、レーザビームスキャナーをもちいて構成した。表示させたホログラムは、遺伝的アルゴリズムやシュミレイテッドアニーリングなど、探査的最適化手法により設計し、良好な再生像が得られることが解った。また、従来の材料と異なり、ホログラムは厚みをもつ体積ホログラムとして構成できるので、読み出し光のエネルギーの損失が少なく高効率に、かつ、より多くの情報を付加できることが解った。
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