研究概要 |
本研究として、BGPの経路情報を収集するPCを設置し、BGPで送られてくる情報のうち、経路変動の解析に不要なメッセージは廃棄し、必要なデータには受信時刻を添付して記録するソフトウェアを開発した。ソフトウェアの安定性の問題によって本格的な稼働は来年度初頭を予定しているが、試験的な運用を行ない、経路情報の記録を行なった。 Internetの全経路、ある学術系のネットワーク、およびある商用ネットワークの3つの情報源からの経路更新メッセージを収集し、解析を行なった。その結果、20日間の運用に対して、商用ネットワークからは100の経路更新メッセージを、学術系ネットワークからは3,791の更新メッセージを、全経路に関しては490,031の更新メッセージが記録され、それぞれ106経路、8,288経路、1,475,323経路に関する更新が含まれていた。受け取る経路数が異なるため、正規化すると、一経路当たりの更新メッセージ数は、それぞれ2.8個、6.5個、7.3個、また一経路当たりの更新経路数では、それぞれ2.9回、7.3回、22回となっている。さらに、更新頻度が最も高い経路の頻度としては、それぞれ93回、630回、1,779回になっている。 このことから、ネットワーク規模が大きくなる程経路の安定性が失われる傾向を想定することができる。さらに詳細な解析が必要であるが、最も高い頻度で更新された経路は、それぞれで単独であることから、ISPと顧客の間のリンク、あるいは顧客側のル-タに起因することが考えられる。
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