方形平行平板スロットアレーアンテナを実現するための各要素技術を確立した。まず、方形平行平板内に一様なTEM波を励振する新しい構造として、誘電体基板を用いた1層構造導波管給電回路を提案した。誘電体基板にスルーホールを密に配列し、その壁面にメッキ等により金属を付着させて導波路(ポスト壁導波管)を構成している。プリント基板加工技術を基に比較的簡易にアンテナを安価に製作できると考えられる。設計周波数において、給電導波路の結合窓が等振幅同位相の分配を実現したことを実験により確認した。給電導波路の周波数特性を、測定近傍界分布の利得により評価し、1dB帯域が約3%であることを示した。 また、一様励振分布となるように放射スロットの形状と位置を最適化した。スロットアレーの終端に取り付ける整合素子の設計も行った。これらの要素技術を組み合わせたアンテナの試作と測定を40Ghz帯で行った。138mm×130mmの大きさの1回目の試作により、40.0GHzで利得30.6dBiと効率29%が得られた。 さらに、今回提案したポスト壁導波管の伝送損失を自動車衝突防止レーダ等で用いられる77GHz帯で測定した。比誘電率5、tanδ=0.0008のセラミック基板について行い、直径0.2mmのポストを0.4mm間隔で配列した高さ0.7mmの導波路で約0.5dB/cmの伝送損失が得られた。ポスト間隔が大きくなるにつれて伝送損失が増大することを実験的に確認した。
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