研究概要 |
1.テレビカメラと3次元センサを組み合わせた新しい光線空間データ取得装置について検討を行った. (1)市販の小型CCDカメラに3次元位置・方向センサを取り付けた光線空間データ取得装置を開発した. (2)基準物体を撮影して求められるカメラパラメータと投影の物理モデルから計算されるカメラパラメータを用いて,焦点距離等のカメラ内部の未知パラメータを推定するアルゴリズムを確立した. (3)回転ステージ等の機械的な位置制御機構をもつ装置との比較を行い,開発した装置が実用上問題ない精度で光線空間データを取得できることを確認した. 2.上記で開発した装置を用いて取得した光線空間データの冗長性について検討し,以下の知見を得た. (1)光線空間データには,空間方向及び視線方向の2種類の冗長性が存在し,これらの統計的性質は互いに異なっている. (2)空間方向の冗長性は,2次元画像のもつ空間的冗長性と同様な性質をもつ. (3)視線方向の冗長性は,物体形状の複雑さと物体表面の反射特性により規定される. 3.光線空間データの多元的冗長性を削減する手法を検討し,以下の成果を得た. (1)2で得た知見をもとに,縦方向の視差を有する4次元光線空間データを四辺形プリミティブに分割していく構造化アルゴリズムを開発した. (2)(1)のプリミティブに対して幾何学的変換と離散コサイン変換(DCT)を適用する手法を検討し,JPEGを上回る性能を得た. (3)4次元光線空間データに対する視差補償予測を検討し,データ量を100分の1に圧縮する手法を開発した. 圧縮した光線空間データから任意視点の視差画像を復元し,裸眼立体視システムを用いて観察した.100分の1に圧縮した光線空間データを用いても,視覚的に良好な3次元画像が再生されることを確認した.
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