研究概要 |
本研究は,記録符号としてパンクチャド畳込み符号を採用し複数のトラックに記録するマルチトラック記録を行うことで,記録レートの上昇による非線形歪や高域雑音の増大を低減し,面方向に生じる相関を利用したPRML方式を構成することで,Viterbi復号で得られる利得の向上により,一層の高密度記録を達成することを目的としている. 本年度は,現有のスピンスタンド及びディジタルストレージオシロスコープなどの測定器とワークステーション,パーソナルコンピュータなどの計算機により,計算機シミュレーション及び記録再生実験を行った.符号化率が1/2の畳込み符号に対して,2/3の割合でシンボル消去することで,符号化率が3/4のパンクチャド畳込み符号を構成し,これを2トラックに分けて記録することで記録レートを入力データ系列の2/3のレートに抑えた.そして,2トラックに跨る信号系列間の相関を利用したPRML方式を構成した.まず,トラック幅が従来方式の1/2となることを考慮に入れた計算機シミュレーションを行い,誤り率特性を求めたところ,記録再生系が線形な場合も,パ-シャルイレ-ジャと呼ばれる非線形歪のある場合においても,従来からハードディスク装置で用いられている8/9(0,4/4)符号化PR4ML方式に比べて良好な特性を示すことが明らかとなった. 更に,スピンスタンドを核とする記録再生実験装置を用いて,ディスクの両面にパンクチャド畳込み符号を記録することで2トラック記録を実現し,その再生波形に対して波形等化を施したのちViterbi復号を行って得られる再生データを得た.そして,入力データとこれを比較することで,誤り率を求めたところ誤り率の改善が得られた.
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