研究概要 |
新しい衛星通信ネットワークを用いたマルチメディア通信や研究・教育用ネットワークを実現するための基礎として,平成9年度は,以下の研究を行った. 1.これまでの時局折り返しによる実験システムで得られたデータを元に,降雨及び航空機が通信誤りに及ぼす影響を詳細に解析を行い,降雨によるビット誤りは,降雨による信号減衰と関係があることを定量的に示した.また福岡地区における降雨減衰の時間率及び降雨減衰特性について評価を行い,その近似式の導出を行った. 2.上記の影響をより詳細に解析を行うために、九大の箱崎キャンパス及び筑紫キャンパス等にVSAT衛星通信システムを設置し,これまでの自局折り返しのシステムから複数局間の通信システムヘと拡張を図った.現在,これらのシステムにより観測を行うためのシステムを構築中である.また,信号の誤りの状況をより詳細に観測するために,計算機を用いたビット誤り計測システムの構築を行っている. これまでの観測システムでは,ビットエラーが生じたという統計的な情報だけしか得られず,その時の波形にどのような歪みを生じているかなどについては分からなかった.今後は,この波形歪みを観測できるシステムを構築し,降雨による波形歪みと航空機による波形歪みの違い等について明らかにしていく.更に現在構築中の複数局を用いたシステムにより,航空機や降雨の影響が,地球-衛星間と衛星-地球間の伝搬のどちらに大きく影響を及ぼしているか等についても明らかにしていく.
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