平成9年度は、1)相互結合型PLLシステムのカオス特性の解析、2)多段縦続接続型PLLのカオスの発生条件の特定、3)その他力学的な間欠性カオスを発生させるシステムの電子回路化を行った。以下に各研究の成果の概要を記す。 1)相互結合型PLLシステムのカオスの特性の解析:この研究では、主に相互結合型PLLシステムの発生するカオス信号の解析を行った。その結果、評価システムはオンオフ間欠性カオスを含む数種類の間欠性カオスを発生することが明らかとなった。PLLシステムにおけるオンオフ間欠性カオスの発見は初めてのケースである。現在、オンオフ間欠性カオスを利用した新デバイスの開発の最初のステップとして、電気学会主催のプロジェクトを利用したオンオフ間欠性カオスPLL一ICを製作中である。 2)多段縦続接続型PLLのカオスの発生条件の特定:この研究では、オンオフ間欠性カオスPLLシステムをネットワーク接続した際のカオス特性を測定した。このシステムに於いても、オンオフ間欠性カオスは観測されたが、その発生条件は厳しくなっている。また、他のネットワーク通信には見られない独特の特性も観測している。この研究は、平成10年度の主テーマとして引き継がれる。 3)の他力学的な間欠性カオスを発生させるシステムの電子回路化:この研究では、マルチプリカティブノイズモデルの特性方程式の電子回路化を行った。現在のところ、興味深い研究成果は得られていない。
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