音声に含まれるノンバーバル情報のうち感情の特徴に着目して、無感情の音声に感情を付加する感情音声合成、さらに感情を込めて発話された音声を分析して感情のカテゴライズを行う感情音声認識を目的に研究を進めた。 まず音声に含まれる感情特徴パラメータの決定のため、ピッチ、パワー、時間構造、アクセントを任意に変化させて、韻律変換できるツールを完成させた。このツールを用いて各パラメータを試行錯誤で変化させて、無感情で発話された音声に対して、喜び、怒り悲しみの感情をそれぞれ付加して、センテンスによらず、話者によらず感情音声合成が可能となった。 次にピッチ、パワー、発話速度をパラメータとして音声を上記の3つの感情カテゴリーに分類するシステムを構築した。ピッチ抽出はケプストラムに基づき、また発話速度は分析フレーム間のスペクトル距離に基づいて独自の抽出アルゴリズムを開発し、リアルタイムで逐次認識結果を出力できるシステムを完成させた。感情カテゴリー分類には多重判別分析を用いた。このシステムと従来から検討を進めている3次元表情合成とをリンクし、入力された音声にリアルタイムに反応して、その時の感情状態にしたがって表情を変化させる擬人化エージェントシステムも完成させた。
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