研究概要 |
本研究では, 1.小形アンテナにおける広帯域化の設計方法を平行二線の理論により明確化すること 2.比帯域幅15%以上の小形アンテナを実現すること を目的として,理論的検討に基づく数値解析および試作実験を行ってきた.研究計画における平成9年度に達成する目標は,上記目的1に関するものであり,平行二線の理論を用いた広帯域化の手法の明確化であった.計画に基づいて研究を進めた結果,得られた研究実績は以下のような項目である. ・広帯域化の方法を机上で検討し,アンテナの帯域幅を求める数値計算のアルゴリズムを明らかにした ・数値計算により,平行二線の理論を用いた広帯域化の限界値を明らかにし,従来の小形アンテナに比べて2倍以上の帯域を持つことが可能であることを明らかにした ・数値計算の結果を基に試作実験を行い,理論的検討が正しいことを確認した 本研究で得られた広帯域化の方法は,現在携帯電話用として広く用いられているヘリカルアンテナ,小形アンテナの一つであるメアンダラインアンテナに適用し,試作実験を行った結果,いずれの小形アンテナにおいても従来に比べて2倍以上の帯域を実現した.従来の小形アンテナではインピーダンス整合回路がアンテナと送受信回路との間に必要であったが,本研究の成果を用いることによりその回路が不要となる.さらにアンテナ自身での広帯域化を可能にし,マルチメディアに対応する次世代携帯電話において必要となる広帯域の特性を小形アンテナに持たせることができる.今後は二つ目の目的である15%以上の帯域を持つ小形アンテナの実現を目指す.
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