本研究では、チャネルの不足を補うために、免許を必要としない微弱電波スペクトル拡散通信を用いて、混信の少ない空きTVチャネル帯域を有効に利用することで、室内(近距離)通信を実現し、ディジタル圧縮画像情報を有効に伝送する手法について検討している。具体的には、ディジタル画像を再生する際に画質に大きな影響を与える圧縮画像情報ビットに対して、スペクトル拡散(符号分割多重)における適応重み付けを行い、同じ誤り率においても画質劣化のより少ない圧縮情報の伝送方式を実現する。 はじめに、MPEG圧縮画像情報の適応重み付けを有効に実現するために、数段階の情報重み付け行い、合成画像の画質を評価し、本方式への適用について実験的に検討した。ここでは、MPEG1圧縮画像情報ビットについて、合成画像の画質への影響の大きさにより、3段階に区分けを行った。実験では、それぞれの情報ビットの値を故意に最大値または最小値に誤らせて、合成される画像の平均S/Nを比較することで影響の大小を評価した。そして、それぞれの情報ビットの割合から逆算して重み付け係数を決定し、誤り率が10^<-4>程度の回線を通して合成画質の劣化の大小を確認した。 また、空きTVチャネル帯域を用いた微弱電波通信に適した同期方式を提案し、試作実験により有効性を確認した。来年度の実験では、購入機材を用いて実働通信環境を整え、画像合成パソコンと接続することで、システム全体としての通信性能の評価を行う。さらに、視覚による画質評価も加え、性能の向上を図りたい。
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