発展方程式は、パターン(本研究の場合は画像)を関数とみなしたとき、その時間変化が関数値自身およびその空間微分値により決定される系である。そのため、それを離散近似した系は局所的な演算のみから構成され、また最終的に収束するパターンは全体の情報を集約したものである。複数の安定なパターンを持つ非線形発展方程式を設計する一つの方法として、まず複数の極小点を持つポテンシャル汎関数を設計し、それを汎関数微分することにより目的の非線形発展方程式系を設計する方法について研究した。 まず、複数の極小値を持つポテンシャル汎関数の構成法に関して研究した。具体的に、[1]目的とする関数をポテンシャル汎関数の極小点として容易に実現できること、2]ポテンシャル汎関数の概観がわかりやすいこと、[3]汎関数微分が容易なこと、[4]非線形拡散の計算量が少ないこと、[5]各種の問題への一般化が容易なこと、などを満たす汎関数として、ガウス関数の和の積分形が適当であるという結果が得られた。また、その結果をグラフ上に展開し、グラフ表現できる一般のシステムへの応用を可能とした。 これらの結果を基に、時空間発展方程式による超並列画像認識システム、超並列両眼立体視システム、超並列動画像図地分離システムを構成し、コンピュータシミュレーションによりその能力を検証した。
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