研究概要 |
工学上の重要な最適化問題の1つのnonsmooth optimizationという分野は、1970年代からLemarechalらによって研究されてきた.近年,近接点法や一般化ニュートン法に基づいた解法を適用することが盛んに研究されている.ここで重要なことは,問題がどのような構造を持っていればこれら解法が効率よく実行できるか,また構造に即した新しい解法が提案できないかという点を明らかにすることである.さらに,理論的なアプローチだけでなく,計算機による数値実験を行うことによって,その効率を調べることにも注目している.とくに最近の計算機の発達により,高速な並列計算機が使用可能になってきているので,分離可能な構造を持つ問題に対しては,並列アルゴリズムを構成することが重要であると考えている.具体的には次のようにまとめられる. 1.エントロピー関数を用いた新しい近接点法が最近提案されている.報告者はそのアイデアに基づく主双対型アルゴリズムおよび交互方向乗数法を適用することを考察している. 2.凸計画問題の非常に特殊なクラスに属し,最近の話題でもある半正定値計画問題を取り上げ,これに交互方向乗数法を適用することを考えている. いずれの方法にしても,理論的な収束性を導き,その効率を確かめるために計算機を用いて数値実験を行っている.
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