研究概要 |
本研究の目的は,人の顔や動物などの自然物体を含めた3次元非定型物体の視覚学習過程の計算モデルの開発である.本年度は,具体的な3次元非定型物体として,人体の中でも重要な器官の一つである左心室を用いて,その形状の表現方法について研究を行った. 閉曲面である左心室を表現する座標系として球座標系を,表現する関数として一様なBスプライン関数を用いた.この表現方法は,閉曲面は球座標系の原点に関しての星形形状の曲面に限定されるが,多くの3次元非定型物体の表現に有効である. この表現方法を用いて,多視点から撮影したX線シネ心血管造影画像を統合し左室内腔の形状を3次元再構成するシステムを構築した.この際,X線左室造影画像から通常抽出されるような不完全な輪郭に対処するために.2段階の繰り返し法を用いて,Bスプラインを用いた閉曲面表現への直接当てはめ(B-spline Fitting to a 4D closed surface model:BF4D)を提案した.そして,生成画像系列と形状が既知の風船を用いた実画像系列の実験を通して,BF4D法が安定に収束すること,および2方向に固定するより視点を変化して撮影した入力画像系列からの方が高精度に再構成できることを確認した. 次に,BF4D法を臨床で実用化するために,ユーザーインタフェースを用いて,左室領域の輪郭抽出と3次元再構成パラメータの設定,モデルの当てはめの3つのサブシステムから構成される左室形状の3次元再構成システムを実現した.そして,このシステムを実際の左室造影画像系列へ適用し,BF4D法が変形の強い左心室形状でも再構成できることを確認した.
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