本研究の目的は、線形計画法を援用した過大評価の極めて少ない区間演算法を確立し、その有効性を示すことである。この方法は山村のアイデアをヒントにしているが、全く一般的な加減乗除や単項演算の組合せによって書かれる任意の関数に適用可能なものであり、新たな区間演算法の一種であると考えられる。 まず最初に、アルゴリズム全体を構築し、細部について理諭的かつ数値実験的に詳細に検討を行なった。それに基づいて、線形計画法として一般的な単体法を用いた場合の共通の制約を利用した計算量を削減や、単体法のPhase-1の省略についても検討を行ない、より効率的なアルゴリズムを得た。 更に、線形計画法の計算精度の問題に関する検討を行ない、係数の変化と目的関数の値との関係を明らかにする補題を導入することにより、丸めの向きの制御によって単体法の精度保証が行なえることを明らかにした。これによって、本手法の欠点であるアルゴリズム中に用いられる線形計画法の精度の問題を解決できると考えられ、次年度以降はこれについて検討する。
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