研究概要 |
本年度は当該研究における初年度であるため,システムの構築およびデータ収集を主に研究を行った.本研究は,知識処理に基づいたパターン認識により,インターフェロメトリックSAR解析におけるphase unwrappingを行うことを目的としている. まずは,知識処理に基づいたパターン認識手法として,2つのニューラルネットワークによるニューロパターン認識手法を構築した.これは,前処理としてKohonenの提案した自己組織化マップを用い,それにより得られた結果を用いて,三層構造のニューラルネットワークによるパターン認識を行う手法である.その妥当性について,論文誌上にて発表を行った. 続いて,インターフェロメトリックSAR解析におけるphase unwrappingシステムを構築した.これをシミュレーションデータに対し応用し,従来の手法に比べて誤差に強く,精度を向上できることを示した.広く用いられているphase unwrapping法は,ブランチカット法などのように画素単位でresidueを調べ,2π毎のあいまいさを修正するものである.これでは,画像中に雑音成分が存在していた場合,その影響が全画像に伝搬するという欠点がある.これに対し,本研究で提案するシステムでは,wrapping後の画像に対してエッジ検出を行い,エッジにおける位相の変化に応じて、あいまい性の修正を行う.このため,画像中に雑音成分が存在していたとしても,それを容易に補正することが可能となる. 最後に,本年度の実験では,実データへの応用がなされておらず,シミュレーション上での評価に止まっている.それ故,次年度以降では,実データへの応用を行い,提案手法の妥当性の検証を行っていく予定である.
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