研究概要 |
本研究は,(1)レーザー長光路吸収法による大気微量分子の分光測定手法に関する研究,(2)衛生搭載レトロリフレクタの光学的設計に関する研究,の2つのテーマに関して研究を行い,以下の成果が得られた。 (1)赤外のレーザー長光路吸収法によるC^<13>など同位体原子を含む微量分子濃度の測定可能性の検討を行った。分子の吸収線データベースであるHITRANには,赤外を中心に,約70万本の吸収線データが含まれている。本年度は,分子吸収線データベースから,測定対象となる同位体を含む分子の最適な吸収線を検索するプログラムを開発した。 (2)レトロリフレクターは,どの方向から入射した光線も逆方向に反射する。しかしこれを高速で運動する衛星に搭載した場合,光行差により,通常のレトロリフレクターでは,反射光がレーザー送信局からわずかにずれた場所に戻ってくる。このため,反射光を地上局で受信するために,鏡面を球面とし,また鏡面間の二面角を90度からわずかにずらす必要がある。パラメータ数が増えると,従来の全探索で,光学的効率を最大にするパラメーターの組み合わせを探索するのは不可能である。そこで遺伝的アルゴリズムを用いた,衛星搭載レトロリフレクタの光学的設計の最適化のプログラムを開発した。この結果,遺伝的アルゴリズムの適用により,衛星搭載レトロリフレクタの光学的設計の最適化が可能であることを明らかにした。また,従来より広い地上局の領域をカバーするために4素子から成る衛星搭載レトロリフレクターの提案を行い,その光学的性能を評価した。
|