研究概要 |
本研究では当初予定では,研究代表者の所属する研究室にある磁気浮上システムについて表記の題目の研究を行う予定であったが,諸般の事情により航空宇宙技術研究所を中心に研究が進められている宇宙往還輸送機(HOPE)の着陸システム設計技術確立を目的とした小型自動着陸実験機(Alflex)を制御対象として研究をすすめた. AlflexではこれまでH無限大モデルマッチング法を用いて制御系設計がされているが,設計要求を直接設計パラメータに盛り込めないために,設計時に多くの試行錯誤を要する結果となっていた.また系統的なゲインスケジューリング手法の開発も課題であった.当研究における研究目的は多数の仕様をLMIアプローチによって達成しようとするものであり,ゲインスケジューリングも視野の中にあったので制御対象として好都合なものであった. 従って,Alflex自動着陸システムのモデリングと制御系統計一つの目的とし,そこで用いられる実用的,汎用的な要素技術の開発をもう一つの目的と設定した. 本年度はAlflex縦系について3点の動作ポイントにおける状態空間データからLPVシステムとしてのモデリング方法と2つのゲインスケジューリング設計法を開発した.LPVモデリングは与えられた点を(非)線形に最小二乗近似する方法の行列版であり,汎用性のある技術が開発された.ゲインスケジューリング法については導出されたLPVモデルに基づき,制御性能は劣るが単純な方法と反対に性能は良いが複雑なコントローラの二種類を得た.両者とも設計仕様はクリアし,かつ設計時の試行錯誤はこれまでより大幅に減らすことが出来た. 来年度は横系のモデリングと制御および総合的な制御性能のクリアおよび航空機制御系統計で重要な安定余裕の概念の多変数系への拡張を目指す.
|