本研究は、固定式で広範囲なレンジファインダと可動式で狭領域をレンジファインダを複数組み合わせて、複雑な形状を有する物体の全周形状を得ることを目的としている。そのため、まず狭領域レンジファインダをコンピュータ制御により高精度に駆動する装置を開発し、その試作可動レンジファインダで得られる対象の切片の三次元形状データを合併し、一体化するアルゴリズムの開発を次に行った。これらの開発した装置及び技術を用い、自然物に対するロバスト性の検証を行った。 1)狭領域可動式レンジファインダの製作 松下電工製レーザレンジファインダ(L1D、一次元スキャン型、計測範囲4cm幅×3cm深、計測点数約400点)の計測ヘッドをローランドDG社製三次元プロッタ(PNC-2300)に装着し、20cm幅×30cmの範囲を100μmの精度で可動させることが可能である一回の計測で得られる形状データは4cm幅×30cmと細長いスリップ上であり、計測ヘッドを3cmほど繰り返して平行移動させ(つまり1cmをオーバラッピングさせる)ることで、対象物全体の形状を取得できる。しかし個々のスリップ形状データ間には形状的に関連はなく、新規に開発した三次元点群等間隔リサンプリング技術(本計測ヘッドは構造上等間隔サンプリングが行えない)により、X方法、Y方向とも等間隔の合併形状データを合成することができた。さらに本技術で、複雑な形状を有する自然物、例えば、実際考古遺物(三角縁神獣鏡、直径約25cm、約8スリップの形状データを合併)等を計測し、良好にその微細紋様が計測できることを確認した。 2)表面属性の計測 三次元物体は、その形状のみならず表面の模様や質感も重要な要素であり、全体形状の計測と同時に各種光学的表面属性の計測を行いたい。光源を移動させつつ画像計測し、表面色、表面光沢の計測を行う画像処理アルゴリズムの開発を行った。
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