1. はじめに 光弾性法による応力解析を実現する上で最も問題になるのが、主応力値の決定である.これらは実際に使用される複雑な形状を持つ試験片に対して、光弾性法の結果だけでは解析不能である。そこで、本研究では光弾性法と同時にスペックル干渉法を実行し、様々な角度から観測された試験片の応力および変位情報を利用して主応力の解析を行う。その結果から、材料内部に局在する応力分布の方向及びその単独値での大きさの両者を併せて計測する手法についての検討を行っている。 1) 光弾性装置による応力分布の測定 被測定対象となる試験片を、光弾性特性を持ったエポキシ樹脂で作成した。この試験片は引張試験で一般的に用いられる4号試験片とした。さらに白色光源(陽光ランプ)及びレンズ・フィルター等を用いて光弾性装置を制作した。申請書類では光源にLDレーザーを使用する予定であった。しかし、この発光デバイスでは偏光板等の減衰により測定に十分な光強度が得られなかったため、光源を測定に十分な強度が得られる陽光ランプ変更している。次に光弾性効果を確認するため、波長板と偏光板を組み合わせる事で円偏光を発生させ、これを応力を負荷させた試験片に照射した。これにより試験片を経た通過光から等色線分布図をCCDカメラを用いて測定した。この画像は2)で数値データとして解析に使用できる様にCCDカメラとコンピュータを組み合わせた画像計測システムを構成した。 2) スペックル干渉法を用いた表面変位の測定 He-Neレーザーを光源とし、この光をすりガラスに照射させる事でスペックルを発生させる。なお、スペックル径の大きさの制御は回折系としてレンズを使用せず、すりガラスと試験片との距離を変更させて制御している。現在はスペックルパターンの発生に伴う画像ノイズにより、応力負荷時における試験片の光軸方向の正確な測定が出来ていない。このため、まだスペックルパターンを1)で構成した画像測定システムで計測するに止まっている.
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