研究概要 |
データ欠損を伴う画像復元問題における悪条件線形方程式に対し次のような研究を行った. 1.悪条件線形方程式は通常特異値分解を用いて解かれるが,この手法は計算量が多いという欠点がある.これに対して我々は直接法であるQR分解を2回行う解法を提案し,この方法により特異値分解法と同程度の精度の解が得られることを数値実験より確認した. 2.特異値分解によるTikhonov-Phillips正則化法を用いるとき,GCV情報量規準関数を用いて最適正則化パラメータを推定することができる.同様に我々の提案する方法においてもGCV情報量規準関数は適用可能であることを示した.また,数値実験よりこの規準関数の有効性も検証した. 3.QR分解を用いた正則化法を提案し,この方法においても同様にGCV規準関数が適用可能であり,高速に高精度の解が得られることを確認した. 4.以上のことより,従来の手法に比べ高速になおかつ高品質な解が得られることがわかった.大規模な悪条件線形方程式に対する数値解法として威力が発揮されると期待される.
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