研究概要 |
プロセス制御系を扱う現場においては,今なおPID制御法が広く用いられているのが現状である.しかしながら,実際の化学プロセスは多変数系であることが多く,さらには,入出力間に強い相互干渉が存在している場合が多い.したがって,プロセス制御系を扱う現場では,このような多変数干渉プロセスにおけるPID制御系の設計に関する研究が必要とされている.そこで本研究において,多変数干渉プロセスにおけるPID制御系設計の高度化と知能化に関する研究を行った.とくに平成9年度は,PID制御系設計の高度化手法の一つとして,多変数干渉プロセスに対するセルフチューニングPID制御系の設計法について考察した.具体的には,干渉プロセスの非干渉化のために前置補償器を挿入し,制御対象と前置補償器により構成される拡大系に対して,PID制御系を設計した.その際,実装化が容易に行えるように,前置補償器は静的補償器とし,制御対象のプロセスゲインの逆数で与え,非干渉化されたそれぞれの入出力間にPID制御器を挿入する多重ループPID制御系を構成した.さらに,本手法の有効性について,液面・流量多変数プロセス制御系への適用を通して検証した. 一方,平成10年度の研究テーマである多変数干渉プロセスに対するPID制御系設計の知能化に関する研究として,ニューラルネットワークを併用したインテリジェント制御系の設計について研究を開始したところである.
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